札幌医科大学
消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座
Department of Surgery, Surgical Oncology and Science


上部消化管チーム


【診療内容】


食道がんに対する術前多剤併用化学療法
食道がんに対する術前多剤併用化学療法
本邦の切除可能なStageⅡ/Ⅲ胸部食道癌に対する標準治療は,シスプラチン+5-FU (FP)による術前化学療法です。しかし、奏効率は38%に留まり、サブグループ解析ではcT3のより進行した症例では不十分な成績でした。
当施設では更なる治療成績の向上を目指し、より強力な抗腫瘍効果を有するDocetaxel/CDGP/ 5-FU(DNF)併用療法を術前に施行する臨床試験を展開中です。


食道がんに対する低侵襲性の追求
食道がんに対する低侵襲性の追求
食道がんでは従来の開胸・開腹手術に代わり、胸腔鏡による胸部操作、腹腔鏡を用いた腹部操作で手術を行っています。


食道がんに対する腹臥位胸腔鏡下食道切除術
食道がんに対する腹臥位胸腔鏡下食道切除術
腹臥位にすることにより視野を妨げる肺や心臓が重力によって腹側に偏移し、安定した術野確保が可能となります。良視野の確保により出血量の減少、術後肺炎の減少などの有用性があります。


胃がんに対する多剤併用化学療法
胃がんに対する多剤併用化学療法
スキルス胃癌などの難治性胃癌や切除不能胃癌・再発癌に対して、内科と共同で3剤併用のDocetaxel/CDDP/S-1 (DCS療法)を施行しています。33%の症例で切除不能転移巣が消失し、手術施行可能となっています。切除例の全生存期間中央値は48か月と良好です。現在はDocetaxel/Oxaliplatin/S-1 (DOS療法)による臨床試験を展開中です。
また、DCS療法による術前補助化学療法を、StageIIIの症例に対して応用しています。HER2陽性例にはトラスツズマブの併用も施行しています。


胃がんに対する低侵襲性の追求法
胃がんに対する低侵襲性の追求
胃がんに対する手術では腹腔鏡下胃切除術(幽門側胃切除術、胃全摘術、幽門保存胃切除術、噴門側胃切除術)を積極的に導入しており、十分な根治性を保ちつつ、患者さんの負担軽減に努めています。


胃がんに対する機能温存手術
胃がんに対する機能温存手術
早期胃癌に対しては幽門保存胃切除術や噴門側胃切除術など胃切除範囲を縮小した機能温存手術を選択し、術後の障害の軽減に努めています。


腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)
腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)
GISTや低悪性度腫瘍では正常な胃及び十二指腸の切除範囲を最小限に留めるために、内視鏡医と連携してLECSを施行しています。また腫瘍の局在や発育形式によっては単孔式手術も導入しています


【診療実績】


食道がん

胸腔鏡下食道切除はほぼ全症例に対して施行しております。
進行がんにおいても術前化学療法と手術による集学的なアプローチにより良好な成績が得られております。
術前DNF療法により、約30%の症例でpCRが得られました。
根治的化学放射線療法後のがん遺残・再発症例に対する救済手術(サルベージ手術)にも対応しています。


胃がん

2016年は約70%の患者さまに腹腔鏡下手術を施行致しました。
胃がん切除例の5年生存率はステージI: 90%、II: 70%、III:65%でした。
切除不能と診断された症例においてもDCS療法により約33%の症例で治癒切除が可能となり、42.4%の5年生存が得られています。


【臨床試験】


当科で実施している臨床試験
  1. ダ・ヴィンチ手術システムを用いたロボット支援腹腔鏡下胃癌手術の臨床応用に関する研究
  2. 高度肥満症例における腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の有用性と安全性に関する研究
  3. 臨床病期 IB/Ⅱ/Ⅲ 期(T4を除く)食道癌に対するDocetaxel/CDGP/ 5-FU(DNF)併用療法による術前補助化学療法のFeasibility試験
  4. ハイリスク消化管間質腫瘍(GIST)に対する完全切除後の治療に関する研究

現在参加している多施設共同研究
  1. StageⅢの治癒切除胃癌に対する術後補助化学療法としてのTS-1+Docetaxel併用療法とTS-1単独療法のランダム化比較第Ⅲ相試験
  2. StageⅢ治癒切除胃癌症例におけるTS-1術後補助化学療法の予後予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究
  3. HER2陰性切除不能進行・再発胃癌に対するS-1,Docetaxel, Oxaliplatin(DOS)併用療法の第Ⅰ/Ⅱ相試験
  4. HER2陽性のStageIII胃癌患者に対する術前DCS療法(ドセタキセル+シスプラチン+S-1)+トラスツズマブ併用療法(DCS-T療法)の忍容性試験

【担当医】


信岡 伊東    
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