乳腺内分泌チーム
【診療内容】
乳房部分切除(乳がん)

術前にMMG、US、MRIなどの画像検査にて広がり診断を行い、ICGを用いて切除範囲をマーキングして大胸筋筋膜を切除する形で円柱状に切除します。摘出標本は、術中迅速組織診、標本軟線撮影にて確実な病変の切除を従来より行っています。
色素法+RI法を併用したセンチネルリンパ節生検(乳がん)

術前日にフィチン酸テクネシウムを局所注射し、センチネルリンパ節のマッピングをSPECT-CTにてイメージ化します。
手術時は、インジコカルミンを局所注射し色素法も併用し確実なセンチネルリンパ節生検を行います。
腋窩リンパ節郭清(乳がん)

センチネルリンパ節生検はRIと色素の併用法により行っています。手術前にSPECT-CTにてフュージョン画像を作成し、センチネル領域も確認しています。
腋窩郭清については、エネルギーデバイスを用いることにより手術の効率化と手術時間の短縮を図ります。デバイスを更新してより安全で確かな手術をめざします。
当科における乳がんに対する術後薬物療法の方針について(乳がん)

ER/HER2を基本としたバイオロジーからサブグループごとに分け、各臨床病理学的因子を参照して術後治療について個別に検討していきます。
この他、近年ではER+/HER2- 中間リスク症例に対しては、化学療法追加を検討する目的でOncotype DXといった遺伝子診断ツールも有用です。がん組織の21遺伝子発現状況から再発スコアを計算するものです。当科では、Oncotype Dxを積極的に取り入れ個別化した治療計画の立案の補助的ツールとして使用しています。化学療法を上乗せするかしないかは患者さんにリスクとベネフィットを十分に説明し、納得されてうえで治療を進めていくことを心掛けています。
超音波凝固装置を用いた手術(甲状腺がん)

エナジーデバイスを用いることで、安定した血管シール機能による出血量の減少と、手術操作の簡略化に伴い手術時間の短縮を得ることができました。
Nerve Integrity Monitorを使用した手術(甲状腺がん)

Nerve Integrity Monitor (NIM)を使用して甲状腺下極〜後面の反回神経をモニターし、反回神経が温存されていることを確認しながら手術を行います。外側区域の郭清の際は迷走神経についても確認が可能であり、安全に行うことができます。
【診療実績】
乳がんの手術件数

経時的に手術症例は年々増加傾向にあります。
乳がんの予後

2009年1月〜2012年1月の当科の手術症例における、病期分類別の無再発生存曲線です。5年生存率はStage 0, 1, 2, 3それぞれ97.3%, 96.4%, 92.7%, 78.6%でした。日本乳癌学会全国乳がん患者登録調査報告(2004年次症例)によると5年生存率はStage 0, 1, 2, 3それぞれ96.3%, 92.2%, 81.6%, 58.4%であり遜色のない結果が得られています。
また、Stage IV乳がん症例においても治療の選択肢が増えており、集学的治療の体制が向上しています。
超音波凝固装置を使用した手術(甲状腺がん)
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エナジーデバイスを用いることでより短時間の手術が可能になりました。
また、出血量も低下することが示唆されました。
NIMを使用した手術(甲状腺がん)

NIMの導入により、術中に反回神経のモニタリングが可能となりました。
実際にNIMを用いて反回神経周囲の手術操作が入る前後でその数値を比較すると、嗄声を来さなかった22症例でほぼ同様の数値をリアルタイムに確認できるため、術中の不慮の損傷を回避することができます。
【臨床試験】
当科で実施している臨床試験
- 乳房造影超音波における乳がんの広がり診断に関する研究 (Evergreen試験)
- 乳がん乳房部分切除実施時の断端評価と予後に関する多施設共同後方視観察研究 (SUNRISE)
現在参加している多施設共同研究
- HER2陰性転移・再発乳がん患者を対象にエリブリンとS1のHRQoLを比較するランダム化第Ⅲ相試験 (RESQ試験)
- ER陽性再発乳がんを対象としたエベロリムス使用症例における口内炎予防のための歯科介入無作為化第Ⅲ相試験(Oral Care-BC試験)
- 乳がんの術前・術後化学療法における発熱性好中球減少症に関する観察研究(FN試験)
- HER2陽性の進行・再発乳がんに対するペルツズマブ再投与の有用性を検証する第Ⅲ相臨床研究 ーペルツズマブ再投与試験ー(PRECIOUS試験)
【担当医】