札幌医科大学
消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座
Department of Surgery, Surgical Oncology and Science


肝胆膵チーム


【疾患】


原発性肝がん、転移性肝がん、肝エキノコッカス症

肝がんについて
肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、初期の肝がんに特有の症状はありません。肝がんはウイルス性肝炎や肝硬変から悪性腫瘍が発生することが多いとされますが、ウイルスに無関係な悪性腫瘍も増えています。当科で扱っている原発性肝がんでは、60%がウイルス性で、40%がウイルスとは無関係です。

膵がん、胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がん、膵腫瘍、胆石症

膵臓は胃の後ろにある15cm程の臓器で、消化液と血糖を調節するホルモン(インスリンなど)を賛成・分泌します。膵がんの多くは膵管という膵液が通る管に発生します。膵には、がんの他に悪性度の低い神経内分泌腫瘍や、膵管内腫瘍ができる事があり、手術により充分に治癒する事ができます。 胆管は肝臓で作られた胆汁を運ぶ管で、膵臓の一部を通って十二指腸につながります。胆管にできるがんが進行して、胆汁の流れが滞ると体が黄色くなる(黄疸)症状が出ます。


脾機能亢進症、脾腫瘍、突発性血小板減少性紫斑病など

門脈圧亢進症に伴う脾機能亢進症,内科的治療に抵抗する特発性血小板などの血液疾患,脾動脈瘤など様々な疾患が脾摘術の適応となります。

【検査】


超音波検査 超音波検査
腹部に超音波を発信し、そこから返ってくるエコーを受信し、コンピュータ処理で画像化して診断するのが腹部超音波検査(腹部エコー)です。おなかに超音波プローブをあて病変を調べます。特殊な造影剤により、腫瘍の血流を評価することも可能です。

CT CT
確定診断のために、最も多く用いられる検査法です。より詳しく見るためには、造影剤を使うことが必要です。得られた画像を3次元に再構築することで、手術前に血管と病変の立体的位置関係を知ることができます。安全な手術を行うために必須の検査法です。

MRI MRI
CTで病変の鑑別が難しいときに必要となります。放射線被曝がないメリットがありますが、検査時間が30分ほどかかることや、磁力を使うために金属(心臓ペースメーカーなど)を装着している方は使えないデメリットがあります。造影剤を使うことで、1回の検査でより多くの情報が得られます。

超音波内視鏡検査 超音波内視鏡検査
内視鏡に超音波装置を備えた道具を用いた検査です。胃カメラと同じような方法で検査を行いますが、超音波も用いることでより詳細に病変の情報を得ることができます。

アシアロシンチグラフィーSPECT fusion画像 アシアロシンチグラフィー
アシアロ糖タンパクは肝細胞に特異的に結合します。点滴で投与すると、肝機能の良好な肝臓では取り込みが早く、肝機能の不良な肝臓では取り込まれず全身を回り続けることになります。この機序を利用して、肝機能を評価します。

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【治療】



肝がんの治療法は、大きく分けて手術・焼灼療法・塞栓療法・化学療法があります。治療方法は「肝障害の程度」「腫瘍の数」「腫瘍の大きさ」によって決まります。当科では、主に手術治療を行っています。

3種類の手術法 3種類の手術法
  • 開腹法:創(きず)が最も大きくなります。腫瘍部位の問題などにより、他の方法で安全に出来ない場合に選択します。
  • ハイブリット法:肝臓を固定している靭帯などは腹腔鏡で切離し、小さな創を開けて直視下に肝臓を切離します。
  • 完全鏡視下法:すべてを腹腔鏡で行います。最も痛みが小さく、術後3日で帰宅することも可能です。

手術方法の年次推移 手術方法の年次推移
2005年に数例の患者さんに簡単な腹腔鏡による手術を行い、2008年から本格的に導入し始めましたので、10年以上にわたって治療を担当してきました。その割合は年々増加し、最近では約半数の患者さんが腹腔鏡手術を受けられています。

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肝臓の手術は出血しやすい? 肝臓の手術は出血しやすい?
出血量は年々減少しており、もっとも出血量の少ない腹腔鏡手術では、1回の手術における出血量は50ml程度です。開腹手術にも腹腔鏡の技術や器械を導入することで、10年前に比べると約1/3の300ml程度の出血量になったことがわかります。当然輸血を必要とする患者さんはごくまれになりました。

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膵・胆道

手術 手術
膵・胆道領域は解剖が複雑なことから、手術が複雑で身体への負担が大きくなります。
当科では、がんの根治性を追求し複雑な血管合併切除を同時に行う拡大手術や、根治性を損なわずに臓器機能の温存や手術後の早期回復に向けた、身体への負担の小さい手術(腹腔鏡手術)にも積極的に取り組んでいます。

集学的治療 集学的治療
膵・胆道がんの拡がりに応じて、化学療法や放射線療法と手術療法を組み合わせて行うなど、個々の病状を鑑みた治療を行うことで、予後を改善できるように取り組んでいます。


創の小さな腹腔鏡下脾臓摘出術
ほとんどの症例で創の小さな腹腔鏡下脾臓摘出術が適応となります。症状がある脾のう胞の患者さんに対しては腹腔鏡下脾のう胞開窓術も行っています。

【当科の特色】


胆・膵疾患に対する手術

最新のデバイス・精密な手術器具を使用した繊細な手術
最新のデバイス・精密な手術器具を使用した繊細な手術
胆・膵疾患に対する手術では、手術中の出血量が手術後の経過と予後に影響することから、当チームの出血量が極めて少ないこと(約300ml)は特筆すべき点と言えます。


肝切除術

肝切除における3次元画像支援
肝腫瘍切除のためには、複雑に絡み合った脈管と腫瘍の立体的位置関係の把握が必要になります。また、患者さんの肝機能によって切除できる肝容量には限界があります。3次元画像支援ナビゲーションにより、切除シミュレーションや切除予定肝容量を推定することで安全な術式を選択します。


インドシアノグリーン蛍光法によるナビゲーション手術
インドシアノグリーン蛍光法によるナビゲーション手術
インドシアノグリーン(ICG)蛍光法を用いた肝切除を行っています。肉眼では分からない肝表面に位置する肝がんもこの方法で見付けることが可能です。腹腔鏡下手術では、がんの位置をリアルタイムに認識する方法として用いています。


【担当医】


水口 木村 永山 今村 山口
水口 プロフィール 木村 プロフィール 永山 プロフィール 今村 プロフィール 山口 プロフィール