肝胆膵チーム

担当医

肝脾

対象疾患

肝悪性腫瘍(肝細胞癌・胆管細胞癌・転移癌・肉腫など)、エキノコックス症、
肝良性腫瘍(血管腫、嚢胞など)、肝外傷、脾腫瘍、脾嚢胞、巨脾

メッセージ

 肝臓は消化器外科領域の中では再生臓器である一方、その機能は個人によって差が大きく評価が大変に難しい臓器です。単に焼灼する方法から切除・移植と治療手段も多く、腫瘍因子と機能因子のバランスを保つ医師としての平衡感覚が重要です。平衡感覚を養うためには、臨床のみならず、科学の目も必要です。これからの医療界はグローバルな視野感覚が重要で、そのための最短に完成できるプログラム選択を行ってください。

 肝臓は脈管が多くその解剖が複雑です。当科では320列のCTを使用し立体仮想模型をコンピュータ―内に作製して、詳細な血管情報や肝臓の区域情報を元に正確な切除範囲を設定しております。切除する血管を術前に明確に確認することが可能で、安全な手術が可能になっております。術中に切除領域を決定し同定しやすくするために、色素の使用や3D画像を肝臓に投影して切除するグリソンの位置を確認したりなど、より安全な肝切除を行うための工夫を行っています。

 肝腫瘍の存在する位置や大きさによっては鏡視下手術も導入しており、低侵襲な術式も導入しており、創痛の軽減や早期離床に寄与しています。一般的な肝切除においてはダイセクティングシーラー(DS)と超音波メス(CUSA)を使用しておりますが、当院の手術場ではバイポーラーシザース、バイクランプ、アルゴンレーザー、ハーモックスカルペル、リガシュアーといった様々なデバイスが常備されております。このような最先端の器械を駆使してより安全に手術が施工しております。その結果、最近のすべての肝切除症例において無輸血率が約90%以上であり、肝離断面からの合併症はほとんど経験しないようになりました。

 当科では最先端の画像技術と手術機器のテクノロージーを駆使し、誰にでも明解な治療を行えるように日々の診療にあたっています。また、手術以外の治療法での集学的治療にも他科と連携し行っています。

胆膵

対象疾患

膵臓:膵癌、膵腫瘍(嚢胞性腫瘍や神経内分泌腫瘍)、急性・慢性膵炎など
胆道:胆道癌(胆管癌、乳頭部癌、胆嚢癌)、胆石症、膵胆管合流異常症など

メッセージ

当チームが主に診療している膵・胆道悪性腫瘍は、他の消化器悪性腫瘍に比べ生物学的悪性度が高く難治性と言われています。また診断(確定診断や腫瘍の進展度診断)と治療方針の決定においては、複雑かつバリエーションの多い解剖の十分な理解と各種精密検査(MDCT、MRI、EUS、胆管造影など)の正確な読影が求められます。これらの疾患の根治において、腫瘍遺残のない手術(R0切除)は大変重要な役割を果たすため、必要に応じて血管(門脈、肝動脈など)を含めた周辺臓器の合併切除を行っています。

対象疾患の根治術として代表的な膵頭十二指腸切除(PD)は、年間30症例以上施行しています。当術式は一般的に高難度外科手術として認識され、それ故に病状や生体に対する十分な知識と理解、外科手技に対する正確な技術が要求されます。当施設は日本肝胆膵外科学会により「高度技能医修錬施設A」として認定されており、肝胆膵高度技能専門医の育成も目標の一つとしています。

また、胆石症や低悪性度膵腫瘍に対する腹腔鏡下手術も早くから導入してきました。
今後も、機能温存または低侵襲手術から他臓器合併拡大手術まで、幅広く臨床に取り組んでいきますので、若い皆さんの積極的な参加をお待ちしております。