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体内を詳細かつ連続的に撮影し、コンピュータで分析することで鮮明な画像を得ることができます。最近では機器の発達とともに任意の角度から立体的に観察することが可能です。
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CTを応用し、脈管解剖の把握と術式に応じた残肝容積を測定することで、精密で正確なシミュレーションを施行しています。
現在は、CTを利用したVirtual Cholangioscopyの作成による手術支援を試みています。
腫瘍が大きい場合や、肝臓内の大きな血管と接している場合など、腹腔鏡下での切除が容易ではない場合に行います。
様々な工夫や手技の向上により、腹腔鏡下肝切除術の適応は増えつつあります。必要に応じ約7cmの傷から執刀医の左手のみを腹腔内に挿入する用手補助下手技(ハンドアシスト)や肝臓の周囲組織との癒着剥離にだけ腹腔鏡を用い、肝切除は小開腹下に行うこともあります(腹腔鏡補助下手術)。
左上腹部の最深部に存在する脾臓を良好な視野のもとで手術操作することが可能であり、腹腔鏡下手術の特性が最もよく生かされた術式の一つと言えます。当科でも腹腔鏡下手術を基本としており、多くの患者さんは1週間以内に退院しています。
膵がんにおいて、組織学的完全切除(R0)の達成が危ぶまれる (切除不能境界、BR)症例や、局所の進行により切除不能な(切除不能、UR)症例、病期(ステージ)IVでとくに局所で腫瘍が増大していたり、大きなリンパ節転移がある症例には、手術前に化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療を行い、病勢コントロール、ダウンステージ、腫瘍縮小した後に手術を行う方針(NAC、NAC-RT、Conversion Surgery)に積極的に取り組んでいます。
完全鏡視下手術症例が増加する一方、開腹手術症例の割合は減少しています。昨年は再肝切除や巨大腫瘍を理由とする開腹肝切除が増えました。腹腔鏡補助下も腹腔鏡関連手術としますと、腹腔鏡手術の割合は68%以上の施行率です。また、近年は輸血を要する症例はほとんどありません。
2017年以降、直近5年間の手術実績を示します。
大半が肝胆膵(悪性)腫瘍手術となり、全体の約60%が開腹手術、約40%が腹腔鏡関連の手術でした。
また、膵胆道腫瘍切除312例における腫瘍遺残のない手術(R0切除)の割合は95.2%でした。一方、直近の膵頭十二指腸切除連続193症例における術中出血量は190ml(中央値)と著しく低値です。
このように、当科における胆道・膵疾患の手術は安全・確実に行われています。
肝細胞癌の治療成績はほぼ標準と考えています。転移性肝癌の治療では、基本的に同時性でも肝切除前に術前化学療法を行ってきました。術前化学療法によってがんが消えた症例を4例に経験しています。特徴としては単発症例が46例と多く、全国平均と比較して5年無再発生存率が高くなっています。
肝葉切除時にハンギングマニュエバーを行うときの工夫です。生食注入による圧を利用して剥離操作を行うことにより、安全かつ容易、創の縮小化に貢献します。
Mizuguchi T, et al. J Am Coll Surg. 2014
組織学的完全切除(R0)の達成が危ぶまれる症例(切除不能境界、borderline resectable; BR)や、局所の進行により切除不能な症例(unresectable; UR)については、手術前治療(抗がん剤治療や放射線治療)を実施し、がんを縮めた後に手術を実施します。こうすることで、術後再発や転移の危険が減少し、術後生存期間が延長する可能性があります。
当院で受療した2016年までの膵癌719例のうち、局所進行により当初は切除不能であった106例の患者さんに積極的な集学治療が実施された結果、根治手術が可能となった患者さんが15例(16.1%)にのぼり、それらの生存期間が手術に至らなかった患者さんと比較して有意に延長しました。