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下部消化管・肛門疾患
大腸がん(結腸がん、直腸がん)、炎症性腸疾患、
急性虫垂炎、腸閉塞、痔疾患 など
腹壁疾患
鼡径ヘルニア、大腿ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア
大腸は結腸と直腸に分けられます。
結腸がんと直腸がんを合わせた大腸がんは罹患数(一定期間にその病気にかかる人の数)が全てのがんの中で一番多く、特に女性では死亡者数も一番多いです。
男性 | 肺 53,278人 | 大腸 28,080人 | 胃 27,196人 |
女性 | 大腸 24,338人 | 肺 22,934人 | 膵臓 19,254人 |
男女計 | 肺 76,212人 | 大腸 52,418人 | 胃 41,624人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス 「がん登録/統計」
男性 | 肺 53,247人 | 胃 27,771人 | 大腸 27,718人 |
女性 | 大腸 24,070人 | 肺 22,338人 | 膵臓 18,797人 |
男女計 | 肺 75,585人 | 大腸 51,788人 | 胃 42,319人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス 「がん登録/統計」
男性 | 前立腺 94,748人 | 大腸 87,872人 | 胃 85,325人 |
女性 | 乳房 97,142人 | 大腸 67,753人 | 肺 42,221人 |
男女計 | 大腸 155,625人 | 肺 126,548人 | 胃 124,319人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス 「がん登録/統計」
男性 | 前立腺 92,021人 | 胃 86,905人 | 大腸 86,414人 |
女性 | 乳房 93,858人 | 大腸 65,840人 | 肺 40,777人 |
男女計 | 大腸 152,254人 | 胃 122,823人 | 肺 126,008人 |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス 「がん登録/統計」
カメラをお尻の穴から入れて、大腸全体や小腸の一部を観察し、ポリープやがん、炎症などを診断します。組織の一部をとって調べたり(生検)、早期がんに対しては内視鏡での治療も可能です。
CTは大腸や周辺のリンパ節、血管の状態を見るために行います。他の部位への転移がないかについても調べます。画像を3Dで再構成することにより、手術のシミュレーションを行ったり、手術時のナビゲーションとして利用することができます。
MRIは直腸がんにおいて、周囲の臓器との関連を確認するために行います。治療方針を決める際に非常に重要な検査です。
がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用した検査です。手術前に他の部位への転移や他のがんがないかなどを確認するために行います。
大腸がん症例の約98%にロボット手術や腹腔鏡手術を行っています。
高画質な画像を見ることで、微細解剖(神経・膜・血管)の認識が飛躍的に向上します。
とくに直腸がんでは、根治性・機能温存に関わるTME(直腸間膜を完全切除しがんを包み込むように切除する方法)の質が向上します。
ロボット支援下手術はより精緻な操作が可能で、通常の腹腔鏡では高難度な骨盤深部においても、高いTME完遂率と機能温存(排便機能・排尿機能・性機能)を得ることができます。
当科は北日本で唯一の認定指導施設として全国から多数の医師が研修に訪れています。
近赤外線(Near-infrared, NIR)光で蛍光が励起されるインドシアニングリーン(ICG)を用いた手術を行っています。確実なリンパ節郭清のためリンパの流れや、安全な吻合のために腸管血流を評価しています。
結腸癌を対象に、ロボット支援下結腸切除術の安全性に関する臨床試験を行っています。
TaTMEは経肛門的に直腸を切離し、肛門側から直腸剥離を行う手術です。
特に、通常の腹腔鏡手術ではTMEが困難な男性・肥満・超低位の直腸がんに対する根治性と機能温存・肛門温存率の向上が期待されます。
全くおなかにキズをつけない究極の低侵襲手術で、直腸良性腫瘍や早期癌に対する経肛門的な局所切除法です。確実な水平・垂直断端陰性を保つことができます。高い一括切除率で、病変の全生検など診断的治療にも応用されます。術後の排便障害や疼痛はありません。
「手術をするなら、小さなキズの方がいい」という思いは当然のことです。腹腔鏡手術と同等の根治性を保ち、手術創を臍に集約した単孔式手術では、きわめて優れた整容性と術後疼痛軽減が期待されます。一時的なストーマが必要な症例では創部の創を用いて造設しています。
腹腔鏡下またはロボット支援下で側方郭清を施行しています。拡大視効果により出血量の減少、機能温存、根治性の向上が期待されます。
当科では手術治療のみではなく、術前や術後の化学療法や放射線治療などを含めた包括的治療を行っており、治癒切除率や生存率の向上に取り組んでいます。
当科では高度進行がんや再発がんに対して、根治を目指し他臓器合併切除を含めた拡大手術も行っています。
大腸がんの中でも肛門に近い直腸がんでは手術後に便失禁や頻便などの排便障害を来すことがあります。
当科では直腸切除後の排便障害に対する取り組みも積極的に行っています。
当科では直腸切除後排便障害の評価に国際的に使用を推奨されているLARSスコアの日本語版を作成しました。
(Akizuki et al. World J Surg 2018(42):2660-7)
このLARSスコアを使用して術後排便障害の評価と治療を行っています。
括約筋温存手術では術後1年間は定期的に肛門機能検査を行い、骨盤底筋および肛門括約筋リハビリテーションを導入しています。
2011年1月~2016年の当科の手術症例における大腸がん切除例の5年全生存率はステージIで99%、IIで97%、IIIで86%と全国データと比較しても良好な成績です。
当科では、手術だけでなく化学療法、放射線治療など含めた集学的治療を積極的に行っています。集学的治療により、再発率の低下だけでなく、転移・再発時の治療の選択肢も増え、予後はさらに改善する可能性が期待されます。